過労死ラインである月80時間以上の長時間残業をしたときの話聞きたい?






以前、プラモデルやフィギュアを販売しているネット通販のとある会社に勤めていました。
約7年くらい勤務していました。割と長いですかね。
その間、部署異動や担当替えなどを経験し、色々な体験をさせて頂きました。
アルバイトから入社したのですが、途中で正社員にしてもらったり、お酒の飲み方を教えてもらったりと大変お世話になった会社です。

長い期間勤めていれば、楽しいことや嬉しいことも体験しますが、世間のニュースで見たり聞いたりするような辛い目にあったりもします。

今回はその7年間の経験の中でも個人的にインパクトが強かった「月80時間を超える残業を6ヶ月間体験したときの話」をしようかと思います。
過労死ラインを超える残業の実態を知りたくない方は、今すぐページからアウトしてくださいね。






▼過労死ラインの残業を続けた結果

月80時間以上の残業を6ヶ月に渡り行いました。
深夜残業とか含めると90時間に限りなく近かったときもあります。
その結果、正常だった思考が超・麻痺しました。

どういうことかというと、論理的な思考が完全にマヒし、手っ取り早く楽になる=今の状況から脱する方法ばかりを考え始めるのです。

つまり、死です。

「自分で死ねば、この終わりのない残業地獄から抜け出せる」と考えるようになります。
他の方法を考えなくなるのです。
自死とか自殺といったことが頭の中をグルグルと回ります。

私の場合、幻聴が聞こえるようになるといったことはありませんでした。
しかし、幻覚に近いようなものは見えました。
模様が動き回るというか、そんな感じに見えるのです。
身体も文字通り重くなるような感覚に襲われ続けました。

▼長時間残業が発生した経緯

当時は販売する商品を仕入れる部署で働いていました。
毎日午後に近くの問屋に仕入れに行く他に、社内で注文商品の出荷の指示を出したりウェブページを更新したりメルマガを発行したり新商品の発注を出したりするような業務内容でした。
販売や販促、仕入れに関する業務はなんでもやるような感じですね。

様々なジャンルの商品を扱っていたので、ジャンルごとに担当者が分かれていました。
私はそのうちの2ジャンルを担当していました。

ある日、配置換えを言い渡されました。
私はその結果、計4ジャンルを担当することになりました。
数字だけでも明らかに2倍ですね。
しかも業務内容の相性も悪かったのです。
自分で仕入れに行くことをメインにするジャンルの他、遠くの問屋から届く商品を自分で検品したりすることがメインのジャンルも担当することになりました。

その結果、午前も午後も商品を集めたり数えたりするような状況になり、以前なら空いている時間にやっていた新製品の発注などの業務を定時以降にやらざるを得なくなりました。

しかも、その新製品の種類が4ジャンルともやたらと多いのです。
さらに、業界はFAX発注がメインでしたので、パソコンで集計したデータを紙の発注書に書き出したりで、とにかく面倒で大変で大量の作業でした。

▼仕事が終わらないことは予想できた

実は配置換えの前にそういった状況になることが予想できていました。

自分でも予想できていましたし、周りの同僚も予想できていました。
笑えることに、取引先の方々にも予想できていて、心配のお声を掛けてもらいました。

どうやら、現場の業務量を把握できていなかったのは自社の上層部だけのようでした。
これはいつでもどの会社でもそういうものなのでしょうかね。

配置換え前にその旨を人事部にも伝えましたが「試験的にやってもらって、どうしてもダメだったらまた配置換えをしよう。だからそれまではやってくれ」という返答でした。





▼助けなしの状況

配置換え後、早速月の残業時間が80時間を超えました。
1~2ヶ月やってみてもやはり状況は変わりませんでした。

そこで再度人事部に現況を伝えたのですが、返答は「まだ2ヶ月だし、もうちょっとやってみてよ」という内容でした。

そこからは社畜の思考ですね、「もうやるしかない」と考えました。

多少の業務の手助けは周りの同僚にしてもらうことができました。
しかし、それでも全然業務が終わりません。
他部署に影響する作業も遅らせざるを得ず、その度にその影響を受ける部署から文句を言われる始末。
上司は “もちろん” 助けてくれない。
人事部も最早見て見ぬふり。
社長は「大丈夫?」と声を掛けてくれたけど、「そもそもアンタがGOを出した状況だろ」と思ってしまって逆にストレス。

全力で残業をしている間に、近くで無駄残業とか空残業をしている連中もしました。
本当にストレスでしたね。

毎日会社のカギ閉めもしていました。
数フロアある会社でしたので、これもまた手間なのです。

飲み会にも参加できずに、ストレスだけが溜まり、家には入浴と睡眠だけをしに帰るような状況でした。

やがて感覚はマヒし始め、会社に現状を訴えることを無駄な時間を思い、先程述べたような自死が頭をよぎるようになりました。

▼家族に相談

もちろん、そんな状況を続けていて死にそうな顔をしていると家族にも心配されます。
「人事部とかには相談しているのか?」とか「あまりにも状況が変わらないなら退職も選択肢だぞ」とか。

でも、家族は家族でしかありません。自分ではないのです。
助言はしてくれるものの、それを最終的に判断し実行するのは自分です。
しかし、判断すべき自分の思考がその時点で麻痺していますので、そういった助言は虚空を彷徨うことになります。

どんなにまともな助言などを見たり聞いたりしても、正常な判断ができない思考状態に追い込んでくるのが長時間残業です。

▼地獄からの脱出

なんともあっけない最期でした。

再度配置換えが行われ、私の長時間残業はなくなりました。
(それでも残業は発生し続けましたけどね)

他の部署の上司が人事部に掛け合ってくれたおかげで、私は最終的に6ヶ月でその残業地獄を脱出することができました。

自分からどんなに言ってもダメだったのに、上司が、しかも他の部署の上司が人事部に相談してくれたおかげでつらい日々にオサラバできたのです。
他の部署の人とも交流を持っていてよかったです。
最期にモノを言うのはやはり日頃の信頼関係ですね。





▼まとめ

過労死ラインを超える残業は、心身共に蝕みます。
これは過剰な表現ではありません。
実際に起こるのです。

そして、一見ブラック企業ではないような会社でもそれは起こりうるのです。
実際私の場合、残業した分の残業代は深夜手当までついてちゃんと貰えていました。
そういう点ではブラック企業ではありません。
しかし、やらされたことはダークでブラックな長時間残業だったわけです。

長時間残業発生中、私の精神はもちろん病んでいました。
「河に沈んで、息ができなくなれば、この残業地獄から脱出して楽になる」と本気で考えていました。
考えるたびに「それはよくない」と若干残っていた理性で否定するのです。
もしその残っていた理性まで枯渇してしまっていたら…おそらく自死を実行していたでしょうね。

報道などでよく「長時間残業の末の自殺・自死」が話題になることがあります。
体験したことがない人は「死ぬ前に仕事を辞めればいいのに」とか「誰かに相談すればいいのに」とか平気な顔して言います。

でも、「仕事を辞める」という発想ができなくなってしまったり、「助言を聞いても正常に判断できなくなる」という状況に陥ってしまうのです。
どうかそれを理解してほしいです。

また、身体面では、その長時間残業後に私は不整脈を発症しました。
それまでそんな兆候一切なかったのに、発症してしまったのです。
不整脈は油断できない症状です。
長時間残業は身体を確実に追い込みます。

長時間残業をしない方法はたくさんあるでしょう。
でも、それを実行できないのが「過労死ラインを超えた残業をしている人」なのです。
もし周りにそういう人がいたら、助けてあげてください。
もし自分がそうだと気付いたら、専門機関でも何でもいいので頼ってください。

働き方改革が叫ばれていますが、日本が日本である限り、こういった長時間残業はなくならないと私は思っています。

私と同じ経験を皆様にしてほしくありません。

長時間残業は悪習慣です。

残業代は貰えるでしょうが、それ以上に失うものが多いです。

どうか私の願いが、皆様に届きますように。