気分に不調があったら悩まずに頓服薬を飲もう| うつ病と生きる

2019年9月13日

私がうつ病になってから、かれこれ20年以上経ちました。
病気の始めの頃、親から「心の風邪だからすぐに治るよ」と言われるのを聞いていた頃が懐かしいです。
ネットの文化が進むにつれて、さまざまなうつ病体験者の記録を見ることができ、「心の風邪」という言葉が「すぐに治る」ではなく「誰でも罹る」という意味だということに気付きました。

そんな誰でもかかる病気だからこそ、経験や知識、気付きといったものは共有した方がいいと思っています。

今回私がお話したいのは「頓服薬の使用」についてです。

心療内科や精神科の医師から処方される「頓服薬」。
あまり他人の薬事情を詳しく聞いたことはありませんが、私に処方される頓服薬は主に「気分が下がったとき」や「うつ状態がひどいとき」に飲むように指示を受けています。
この頓服薬のおかげで、様々な心の危機を乗り越えてきました。

もちろん「頓服薬」と一言で表現していますが、この20年で内容・薬の種類は変わっています。
しかし、「薬を飲むタイミング」は決まっています。
少なくとも10年くらいは変わっていません。

今回は、私の頓服薬についての考え方・使い方をご紹介いたします。

▼目次



気分の不調を感じたら頓服を飲む

「飲まない選択」は時間の無駄

「病気の自分」を認めてあげる

服薬については医師の指示を守ろう

飲みすぎ・依存には気を付けよう

まとめ


気分の不調を感じたら頓服を飲む

私は基本的には病状は落ち着いている方だと自分で思っています。
しかし、突如として頓服薬を必要とする状態になることがあります。

「気分が落ちている」
「何もやる気が起きない」
「気持ちが沈んでいる」
「なんだかわからないけど不安だ」
「失敗した出来事が頭から離れない」

上記のような状態になったとき、私は頓服薬を飲みます。
頓服薬は「不安時」とか「不穏時」に飲むという指示でもらっている薬です。

飲むとだいたい1時間くらいで気分は落ち着いてきます。
回復ではありません、「落ち着いて」くるのです。
「落ち着いている」=「平常時」と思って頂いていいと思います。

薬がしっかりと効いているときはそのまま「上向き」とか「前向き」とか、そんな気分になっていきます。
薬を必要とする状態になってから薬を飲むまでは、気分が落ち込んでいる状態ですので「上向き」まで気分がいけばかなり効果があると思えます。

薬の効き目が実際に飲んだ後どれくらいの時間で来るものなのかは知りません。
人によっても薬によっても差があると思います。
しかし、私の場合は「薬を飲んだ安心感」も得ますので、それで1時間前後、早いときは10分後くらいには上記のような効果が出てきます。

「気分が落ちている」
「何もやる気が起きない」
「気持ちが沈んでいる」
「なんだかわからないけど不安だ」
「失敗した出来事が頭から離れない」

繰り返しますが、上記のような状態になったとき、私は頓服を飲みます。

「飲まない選択」は時間の無駄

頓服薬を飲まないという選択は、いろいろな観点から時間の無駄だと思っています。

私はそんなことはないのですが、気分が落ち込んだ時に頓服薬を飲むことをためらう人もいるみたいです。

他にも「調子がいい状態が続いているから薬に頼らないでおこう」とか「一時的な変調なので薬がなくてもすぐ治るだろう」とか、そういう考えをもって頓服薬を飲まない人もいるとのことです。

正直、気分に極端な変調があったときに処方されている頓服薬を飲まないというのは、時間の無駄だと思っています。

なるほど一時的な変調かもしれません。
しかし、それが落ち着くまでは自分はすごく苦しいのです。
そんな状態に耐えたとして、誰に何の得があるのでしょうか。
それに、耐えていたからと言ってその状態から脱することができるなんて、どこの誰が保証してくれるのでしょうか。
1日中その状態が続く可能性だってあります。
もっともっと気分が沈んでいく可能性だってあります。
そして、大抵の場合、いったん飲まないことを決めたとしても、あとで飲むことになります。
以前の私がそうでした。

飲むか飲まないかを悩むのも時間のムダです。

悩んでいる間に時間は進み、症状はより重いものになっていくかもしれません。
そんな状態になったら、それこそ時間の無駄どころか、おそらくあとで「頓服薬を飲まなかった」ことを後悔します。
後悔はより深い気分の落ち込みを生むでしょう。

気分・気持ちに変調を感じたとき、頓服薬を飲まないという行為は時間と体力、精神力のムダです。

「病気の自分」を認めてあげる

「病気の自分」とか「気分が落ち込んでいる自分」、「深く悩んでいる自分」といった「ありのままの自分」を認めることは、うつ病との共生において大事なことだと考えます。

「こんなはずではない」とか「自分はすぐに治る」とか、そういった考え方を持っていると薬を飲むことをためらったり、また飲むことを止めたりしてしまいがちです。
「(仕事があるから)すぐに病気を治さないといけない」も厳禁です。
その考えから「だから薬を飲んでいられない」といった考えが生まれるからです。
焦りは病気の状態をさらに悪化させます。

一番大事なのはうつ病である自分自身を自分で認めてあげることです。
そしてうつ病とは長い付き合いになるということを知ることです。
そうすると変に気が張ることもなくなりますので、気持ちが楽になります。

「病気の自分」を認めていないと、頓服薬を飲むべきタイミングで飲むことをストップしてしまいます。
すると、気分はますます不調になり、その時間は何も手につかないことでしょう。

「うつ病の自分」を素直に認め、受け止めてあげることがまずは大事です。
頓服薬を飲むという行為そのものよりも、大事です。

服薬については医師の指示を守ろう

服薬については主治医の指示を守るべきです。

うつ病かどうかを診断するのは医師です。
経過を観察するのも医師です。
薬を処方するのも医師です。

うつ病と一緒に過ごすにあたり、医師という存在は欠かせないものです。

薬の飲み方や飲むタイミング、飲む量、一日の限度量、一度飲んだら間をどれくらい空けるかなどは原則として医師の指示に従うべきです。
医学を学んでいない素人が勝手に判断しても、ろくなことにならないのは目に見えています。

「薬が自分にあっていない」と思ったら、すぐに医師に相談して、別の薬に変更してもらいましょう。

「この医者の言うことなど聞けない」とか「この医者はいつも間違ったことを言っている」とか「自分が合わないと言っているのに薬を変えてくれない」などと思ったら、医師・クリニック・病院を変えましょう。
医師と信頼関係ができていないからです。
主治医との信頼関係ができていないと、クリニックに行くたびにイライラすることになりますし、処方された薬に対して信用できなくなる場合があるので大変危険だと思います。

正しい医師と患者の関係になれる医師を出会うことが肝心です。
とは言っても、医師も人間です。
必ずしも自分に理想通りの医師を出会うことはできないでしょう。
相手・医師に対してどこか「妥協」も大事です。

話がそれましたが、処方された薬の用法用量に関しては医師の指示を守りましょう。
医師は病気の専門家です。

飲みすぎ・依存には気を付けよう

頓服薬は即効性があり、効果が強いものがほとんどだと思います。

なので、飲むとすぐに「気分がよくなる」こともあります。
それがある種「快感になってしまう」ことが、何年も病気の生活を続けていると起こることがあります。
そうなってしまうと、医師の指示を守らずに一日に何度も薬を、しかも間を空けずに飲んでしまいます。

私もそういう時期がありました。

頓服薬を飲んだあとのなんとも言えない「高揚感」とか「フワフワした感じ」がクセになり、快感になり、ハマってしまいました。
「気持ちが沈むくらいなら」と、一日に何錠も薬を飲み、ずぅーっとフワフワした状態を維持していました。

頓服薬をそんなペースで飲んでいたら、当然薬はすぐになくなります。
飲みたい薬がなくなると、もう落ち着いてなんかいられません。
荒れます。

しかも、頓服薬が無いということは、本来飲むべきタイミングに飲むことができないということです。
そうなるとますます気持ちは不調になりますし、荒れ果てます。

これが「薬への過度の依存」です。

薬にある程度依存するのは病気の人間としてが普通のことだと思います。
しかし、医師の指示を守れないほど飲んでしまうような「過度な依存」は、本当に悪循環を生みます。

最悪の場合、医師・病院から治療を拒否されるケースもあるかもしれません。

薬の使用は医師の指示を守り、飲み過ぎなどの過度な依存は避けましょう。

まとめ

◆気分に著しい不調が現れたら頓服薬を飲みましょう。
◆頓服薬を飲むかどうか迷うのは時間の無駄です。
◆病気の自分を素直に認めましょう。
◆服薬は信頼関係のある医師の指示に従いましょう。
◆強い薬への依存には気を付けましょう。

今回書いた内容はあくまで私の一意見です。
私は医師ではありませんし、医療従事者でもありません。
あくまで20年以上のうつ病体験を基に書かせて頂きました。

参考になるとことは参考にして頂いて、読んでいて参考にならない・おかしいと思う点は切り捨てて頂いてかまいません。

この記事は「あなたに押し付ける意見ではない」ということはしっかりと言っておきます。

自分が納得できるところだけ吸収して頂いて、前向きな生活の足しにして頂ければ幸いです。