初の米朝首脳会談の感想

2018年6月12日、歴史上初となるアメリカと北朝鮮の首脳による会談がシンガポールにて開催されました。
世界平和に向けて期待できる出来事であり、きっと将来教科書に載るような出来事でしょう。しかし、はたして内容はどうだったのでしょうか?





互いに署名した共同声明がありましたが、政治や軍事の素人である私でもわかります、内容は正直骨抜きです。敵対していた両国の首脳が会い、話し合い、声明を出したことには意味があります。しかし、おそらく一番重要な「北朝鮮の非核化」については内容が薄過ぎると言わざるを得ないでしょう。
プロセスが不明確過ぎます。さらに、「不可逆的な完全な非核化」を文言に盛り込むことができませんでした。
それでも「米朝は平和に向けて互いに協力する」という文言が声明には入っています。これはアメリカによる北朝鮮の現体制が容認されたと言っても過言ではないでしょう。
つまり、今回の会談の勝者は金委員長=北朝鮮なのです。
アメリカやその同盟国が最も望んでいた「不可逆的な完全な非核化」が約束できなかったのですから、もし今回の会談に勝敗をつけるのであればそういうことになるでしょう。

しかし、とは言え、「初の米朝会談」が歴史的快挙であることは間違いありません。
これまで幾度となく六者協議をはじめ、様々な取り組みが北朝鮮によって蔑ろにされてきました。しかし、今回は北朝鮮も簡単には無かったことにはできないと思います。
この「米朝会談」を機に、本当に世界の平和に向けて道筋が開けることに期待しています。

また、今回「国同士の問題はその当事者同士で話し合わなくてはいけない」という事実も明確になりました。日本と北朝鮮の間にある拉致問題です。
日本は今回、この拉致問題が会談において大きく取り上げられることを望んでいました。しかし、それは叶いませんでした。
アメリカと日本が同盟国であっても、首脳同士が仲が良くても、やはりその国はその国にとってのベストな流れを選びます。今のアメリカなら尚更です。

現在、日本と北朝鮮の首脳会談の調整が水面下で進められているなどといった報道もあります。ぜひそうなって欲しいと強く願います。
ただ、北朝鮮は今回アメリカに体制を保証されたことによって、日本に対して強気に出てくることは間違いないでしょう。経済制裁しかカードがない日本が圧倒的に不利です。
この点、日本政府関係者の方々にはどんな手を使ってでも日朝首脳会談をセッティングして頂きたいです。アメリカやロシアを強気に巻き込んででも、とにかくセッティングして欲しいです。

私は拉致被害者の方々が生きていると信じています、願っています。
拉致被害者の方々に母国に帰ってきてもらうために、また日本に残されているご家族の皆様のためにも、日朝首脳会談は絶対に不可欠です。
そして、今もって「北朝鮮のミサイルの射程内にある日本」としても、同じように「平和に向けた協力体制」を共同で採択するべきでしょう。

私自身、今回の米朝会談の内容は考えれば考えるほど、報道を見れば見るほど懐疑的になってしまいます。
しかし、世界の平和に向けた一歩であることは間違いなかったでしょう。一触即発だった両国の首脳が互いに歩み寄り、握手を交わしたのですから。

今後も今回の出来事に向かっていった流れに乗り、世界がより完全な平和に近づくことを願っています。

▼参考サイト
『ダイヤモンド・オンライン』
「金正恩勝利」で終わった米朝首脳会談、元駐韓大使が徹底解説
https://diamond.jp/articles/-/172369