眠れない夜

何年も前、私にも夜に眠れない時期がありました。
当然医師にも相談して、睡眠導入剤やら睡眠薬やらを処方してもらっていました。
寝ようとする時間の前に飲むのですが、飲んで、布団に入って、三時間経っても眠れないのです。たぶん、五時間後くらいには眠っていたと思います。
でも、その分起きるのが遅くなり、その日にやりたかったことが何もできないのです。
そういった日々の連続で焦りを覚え、イライラし、不安に捉われていました。生活リズムも徐々に徐々に昼夜逆転状態になっていきました。
そして「もう社会復帰できないのでは?」という考えに頭が支配されていました。





眠れないことで荒れていました。
暴れもしました。
そんなとき、母から言われたある言葉が睡眠に関する認識を変えたのです。

「無理に眠らなくていいじゃん」

この一言です。
この言葉を聞いて睡眠への認識が変わりました。

もちろん、いきなり悟りを開けたかのように考え方が変わったわけではありません。
正直、最初に言われたときは「何言ってんだよ!それじゃダメなんだよ!」と反抗した覚えもあります。

しかし、それでも母から何度も何度も「無理に眠らなくていいじゃん」と言われ続けていくうちに、だんだんと考え方が変わっていったのです。
「起きるとか眠るとかは身体が決めるリズムなのだから、頭でどうこう考えてもどうにもならないよね」といった具合に変化していきました。

やがて、布団に入って一時間くらい経っても眠れない夜は一旦眠ることをあきらめて本を読んだりTVゲームをやったり、DVDを見たりするようになりました。
すると、無理やり寝ようとしていませんので、眠れなくても気持ちは落ち着いているのです。
最初のうちはそのまま朝になって、朝から寝るという日が何度もありました。
ただ、起きてからやりたかったことなどは夜のうちにやってしまっていたので焦りの気持ちなどはありませんでした。

やがて、一旦眠ることをあきらめてから他のことをやっているうちに、徐々に眠くなるようになってきました。
身体が自然と地球時間にリズムを合わせ始めてきたのです。
そして、私の睡眠リズムはいつの間にか一般的な「朝起きて夜眠る」型に戻っていったのです。

もし、どうしても眠れない夜が続いて悩んでしまっていたら、一度眠ることをあきらめてください。
無理やり眠ろうとすると焦りや不安が生まれますが、自分の身体の自然のリズムに心を任せれば焦りや不安は生じません。

学校に通っていたり仕事をしている人にとっては厳しいことを書いているかもしれません。
でも、どうしても眠れないときは試しに一度眠ることをあきらめてください。
翌日、身体はつらいかもしれませんが、心はいつもよりも楽になっているはずです。

まず大事なのは心です。
心さえ安定していれば睡眠リズムは人と違っていても大丈夫です。

「こうでなきゃいけないんだ」と思う必要はありません。
思い込みを捨てて、まずは自分の心を楽にしてみましょう。